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ChatGPTに入力してはいけない情報|会社で決める3区分と設定の確認

「調べものにも文章の下書きにも使えるので、気づけば社員がそれぞれの判断でChatGPTを使っていた」。生成AIが仕事の道具として当たり前になった分、この状態の会社は少なくありません。危ないのはAIを使うことではなく、入力してよい情報の線引きが決まっておらず、社員ごとに判断が違うことです。本記事では、会社で決めておく「入力してよい・加工すればよい・入れてはいけない」の3区分と、入力内容が学習に使われるかどうかを確認する設定、ルールを1枚にまとめる進め方を解説します。

ChatGPTに入力してはいけない情報を3区分で整理するイメージ

ChatGPTに入力してはいけない情報は「3区分」で決める

最初に結論です。入れてはいけないのは、個人データ・秘密保持の対象情報・パスワードやAPIキーなどの認証情報・未公表の経営情報の4種類です。それ以外の業務情報の多くは、固有名詞や実数を伏せる「加工」をすれば使えます。この線引きを会社として決め、情報を3つに区分して1枚にまとめるのが、現実的な出発点です。

区分具体例扱い方
入力してよい一般的な知識の質問、公開済みの自社サイトの文章、誰のことか特定できない文章の下書きや言い換えそのまま使ってよい
加工すればよい顧客対応メールの文面、会議メモの要約、社内資料のたたき台氏名・社名・連絡先を「A社」「Bさん」に置き換え、実数はダミーにしてから入力する
入れてはいけない顧客名簿や連絡先などの個人データ、秘密保持契約の対象情報、パスワード・APIキー、未公表の財務・人事情報入力しない。必要なら法人向けの環境を整えてから扱いを検討する

ポイントは、判断に迷う情報を「入れてはいけない」ではなく「加工すればよい」に寄せることです。禁止の範囲を広げすぎると、ルール自体が守られなくなります。社員が今日から迷わず使える線を引くことが目的です。

なぜ入力が問題になるのか。個人情報保護委員会の注意喚起

ChatGPTに入力した文章は、自分のパソコンの中で処理されるのではなく、サービスを提供する事業者のサーバーに送られます。つまり入力した時点で、その情報は社外に渡した情報になります。さらにサービスやプランによっては、入力内容がAIの学習(モデルの改善)に使われることがあります。

この点について、個人情報保護委員会は2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。事業者向けの注意点として挙げられているのは、次の2つです。

一般の利用者向けにも、入力した個人情報が学習に使われ、他の情報と結びついた形で出力されるリスクがあること、利用規約やプライバシーポリシーを確認して入力する情報を判断することが挙げられています。自社のケースが法律上どう扱われるかはここでは断定できませんので、迷う場合は個人情報保護委員会の相談窓口や専門家に確認してください。

脅威としての位置づけも上がっています。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれました。生成AIの業務利用に伴うリスクは、もう一部の先進的な会社だけの話ではありません。

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学習に使われるかどうかは、プランと設定で変わる

「ChatGPTに入力すると学習に使われる」と一括りに語られがちですが、実際にはプランと設定によって扱いが変わります。ChatGPTを提供するOpenAIの公式ヘルプ「How your data is used to improve model performance」で、2026年10月時点の内容を確認すると、次のように整理されています。

個人向けプランで学習への利用を止めるには、設定(Settings)の「データコントロール(Data controls)」にある、モデル改善への利用を許可する項目(英語表記では「Improve the model for everyone」)をオフにします。メニューの名称や場所は変わることがあるため、設定の際は上記の公式ヘルプで最新の手順を確認してください。

確認は、まとめ記事ではなく公式ヘルプで

この仕様はたびたび変更されるため、検索で出てくる解説記事は古いことがあります。ChatGPTに限らず、業務で使う生成AIサービスごとに、学習利用の既定値・それを止める設定の場所・法人向けプランでの扱いの3点を、提供元の公式ヘルプで確認して記録しておくことをおすすめします。確認した日付も一緒に残しておくと、仕様変更に気づけます。

弊社の点検で見てきた「便利さが先、情報の扱いが後回し」の構図

弊社はAIに作らせた業務ツールの点検のご相談を受けることがあります。そこで繰り返し見てきたのは、パスワードやAPIキーといった秘密情報がプログラムの中に直接書かれている、必要以上に広い権限が与えられている、作り方によっては他人のデータが見えてしまう、実在しない部品が指定されている、といった問題です。詳しくはAIに作らせたツールの6つの落とし穴にまとめています。

ツールの作りと入力ルールは別の話に見えますが、構図は同じです。便利さと速さが先に立ち、情報の扱いを決める作業が後回しになる。AIが悪いのではなく、確認の手順がないまま使われることが問題の中心です。

そして、ここで「全面禁止」に振るのは逆効果になりがちです。業務に役立つ道具を禁止だけで抑えると、個人のアカウントで隠れて使われ、会社からは利用の実態が見えなくなります。会社が把握していないツール利用(いわゆるシャドーIT)の問題と対策は、この連載で後日あらためて取り上げます。APIキーが漏えいしたときの対処も、別の回で詳しく扱う予定です。

現実的な答えは、禁止と放任の間にあります。入力のルールを決めたうえで、会社として「使ってよい道具」を用意することです。会社のアカウントを用意して設定を確認しておく、扱う情報の種類によっては既定で学習に使われない法人向けプランやAPI経由の利用を検討する、という順番で考えると、社員は隠れて使う理由がなくなります。

今日からの進め方。ルール1枚と設定確認で始める

専任の情報システム担当がいない会社でも、次の4つなら今週中に終えられます。

ルールを作るときは、罰則よりも「加工すれば使ってよい」という逃げ道を明記するほうが守られます。入力してしまった社員を責めるのではなく、報告してもらって設定とルールを直す。この姿勢は、フィッシング対策などメール系の脅威と共通です。

また、生成AIへの入力は「社外に出る情報の通り道」の1つにすぎません。クラウドの共有設定が公開のままになっていないかはGoogleドライブの共有設定の点検方法で、セキュリティ対策全体の優先順位は中小企業のセキュリティ対策は何から始めるかで確認できます。情報漏えいの原因全体の中での位置づけは、連載初回の情報漏えいの原因ランキングをご覧ください。

本記事の内容は、2026年10月時点で公表されている資料をもとに編集部が整理したものです。最新の情報は各出典でご確認ください。

入力ルールの次は、AIで作ったツールとサイトの「出口」を点検する

入力のルールを決めても、AIで作った業務ツールや自社サイトの側に穴があれば、情報はそこから漏れます。セキュリティ診断は5,000円(税抜)の固定料金で、サイトのURLだけで始められます。点検後の更新・バックアップ・監視は、月額9,800円(税抜)からの保守で引き受けます。

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よくある質問

Q. 社員が顧客名を入力してしまいました。どうすればよいですか?

まず、いつ・どのサービスに・何を入力したかを本人から聞き取って記録します。利用していたプランの学習設定を確認し、オフになっていなければオフにします。サービスによっては、過去の入力を学習対象から除外する申請や、履歴の削除ができる場合がありますので、公式ヘルプで手順を確認してください。入力した内容が顧客の個人データにあたる場合の法律上の扱いは状況によって異なるため、個人情報保護委員会の相談窓口や専門家への確認をおすすめします。報告した社員を責めないことが、次の報告を早くします。

Q. 無料プランと有料プランで、入力内容の扱いは違いますか?

OpenAIの公式ヘルプ(2026年10月時点)では、個人向けプラン(無料・Plus・Pro)は入力内容がモデルの学習に使われることがあり、設定でオフにできるとされています。一方、法人向けプラン(Business・Enterprise・Edu)とAPI経由の利用では、入力内容は既定で学習に使われないとされています。個人向けか法人向けかの違いが大きく、無料か有料かの違いではない点に注意してください。仕様は変わることがあるため、契約前に最新の公式ヘルプで確認してください。

Q. 社内でのChatGPT利用を禁止すれば安全ではないですか?

禁止だけでは、個人のスマートフォンや私物のアカウントで隠れて使われ、会社から利用の実態が見えなくなるおそれがあります。その状態は、ルールを決めて公認で使わせるよりもリスクが高くなりがちです。入力してよい情報の3区分を決めたうえで、会社として使ってよい道具とアカウントを用意し、設定を確認してから使わせる方法をおすすめします。

Q. 取引先の情報を要約や翻訳に使いたい場合は、どう考えればよいですか?

まず、その情報が秘密保持契約の対象かどうかを確認してください。対象であれば、入力は契約違反になり得るため、相手方への確認が先です。対象でない場合も、社名や担当者名などの固有名詞を記号に置き換え、誰のことか特定できない形に加工してから入力するのが基本です。日常的にこうした用途が多いのであれば、入力内容が既定で学習に使われない法人向けの環境を整えることを検討してください。

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