警告画面の消し方|電話せず、キー操作で閉じる
まず、いちばん知りたいことに答えます。IPA(情報処理推進機構)の解説によると、警告が表示されただけなら、パソコンがウイルスに感染しているわけではありません。偽の警告画面を閉じれば、それで問題ありません(出典:IPA 偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ)。あの画面の正体は、ブラウザで表示されたWebページが全画面表示になっているだけのものです。
閉じ方の手順は次のとおりです。IPAの特集ページで案内されている操作で、2026年10月時点の内容です。
- 1. ESCキーを2〜3秒長押しする。全画面表示が解除され、ウィンドウ右上に閉じるボタン(×)が出るので、クリックして閉じる
- 2. 効かない場合は、警告画面の中を一度クリックしてから、もう一度ESCキーを長押しする
- 3. 「このサイトから移動しますか」といった確認が出たら、移動する方を選ぶ
- 4. それでも閉じられないときは、CtrlキーとAltキーとDeleteキーを同時に押し、画面右下の電源アイコンから再起動する。保存していないデータは消える可能性があるが、画面は消える
タブレットの場合は、全画面表示の任意の場所を長押しすると×マークが表示されます。いずれの手順でも大切なのは、画面に表示された電話番号には電話をかけないことです。慌てて電話をかけた先で、被害が始まります。
IPAはこの操作を練習できる「偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト」を公開しています。偽の警告画面を疑似的に表示し、閉じる操作を体験できるもので、約2分で終わります。落ち着いているときに一度やっておくと、本番で慌てずに済みます。なお、画面の表示や操作は今後変わる可能性があるため、最新の手順は上記のIPAのページでご確認ください。
なぜ本物に見えるのか|手口の変化と相談件数
警察庁の解説によると、サポート詐欺はインターネットを閲覧中に、ウイルスに感染したかのような偽の画面や警告音で不安をあおり、画面の電話番号にかけさせる手口です。偽の警告には実在する企業のロゴが使われることもあります。電話をかけると有料のサポート契約を勧められ、クレジットカード、ギフトカード、コンビニ決済、電子マネーなどで支払わされます。あわせて遠隔操作ソフトのインストールを求められ、アカウントの乗っ取りや不正送金につながるおそれもあります(出典:警察庁 サポート詐欺対策)。
相談は長く続いています。IPAには2015年からこの手口の相談が寄せられており、2023年10月には月間の相談件数が519件と、当時の過去最高を記録しました(出典:IPA 安心相談窓口だより(2023年12月19日))。同じ発表では、手口の変化として次の点が挙げられています。
- 010で始まる国際電話番号を警告画面に表示し、そこへ電話させる誘導が確認されている
- ファイルやデータが持ち出されていると思わせるアニメーションやチャット画面を表示し、本物の警告だと信じさせる細工がある
- 支払い方法として、従来のプリペイドカードに加えてネットバンキングでの支払いも確認されている
重要なのは、この画面が「怪しいサイトを見ていたから」出るとは限らないことです。ふだんどおりの閲覧中に突然表示されるもので、誰のパソコンでも起こり得ます。つまり、表示されること自体は防ぎきれません。分かれ目になるのは、閉じ方を知っているか、そして電話をかけないでいられるかです。偽のメールで誘導するフィッシングと同じく、「見分けきれない前提」で行動の手順を決めておく対策が効きます。メールの方の備えはフィッシングメールの見分け方で解説しています。
電話してしまった後の対処|段階別にやることを示す
電話をかけてしまっても、そこで手が止まるのがいちばんよくありません。どこまで進んでしまったかの段階別に、やることを整理します。遠隔操作ソフトを入れた場合と支払った場合の対処は、警察庁の案内に基づいています。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 電話をかけた・話しただけ | それ以上の指示には応じず、電話を切る。以後の着信には出ない。会話の中で伝えてしまった情報(名前・会社名・連絡先など)を書き出しておく |
| 遠隔操作ソフトを入れてしまった | パソコンをネットワークから切断する(Wi-Fiを切る・LANケーブルを抜く)。セキュリティソフトでウイルスチェックを行い、該当のソフトをアンインストールする。可能であれば初期化し、パスワードを変更する |
| 支払ってしまった | クレジットカードの場合はカード会社に連絡し、支払いの停止を依頼する。電子マネーの場合は管理会社に連絡し、決済の停止や救済措置を相談する。そのうえで警察に相談する |
遠隔操作の接続が続いている最中であれば、CtrlキーとAltキーとDeleteキーの同時押しから再起動する操作が、接続をすばやく断ち切るのに有用だとIPAは案内しています。画面の向こうで誰かが操作している気配があっても、まず切断と再起動です。
消す前に、証拠を残す
警察庁は、被害の相談にあたって証拠の保存を挙げています。偽の警告画面(スマートフォンで撮影しておく)、インストールしてしまったソフトに関する資料、カードの利用履歴、購入した電子マネーのカード現物などです。これらを持って最寄りの警察署に相談します。事前に電話で日時や持ち物を確認しておくと、やり取りが円滑です。判断に迷う場合は、IPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」にも相談できます。
パスワードの変更は、そのパソコンに保存していたものから順に進めます。ブラウザに記憶させていたメール・ネットバンキング・クラウドのパスワードが対象です。使い回しがあると変更の範囲が一気に広がるので、これを機に会社のパスワード管理を整え、重要なサービスには多要素認証を設定しておくと、同じ事態になったときの被害が小さくなります。
会社のパソコンで起きたら|報告先を決めておく
ここまでは操作の話でしたが、会社にとっての本当の分かれ目は別のところにあります。起きたことを、本人がすぐ言えるかどうかです。「変な画面が出て、つい電話してしまった」は言い出しにくいものです。報告が遅れるほど、遠隔操作ソフトが残ったまま業務が続き、影響の範囲が広がります。
社内で決めておくことは3つだけです。全部あわせても15分で決められます。
- 報告先を1行で決める(経営者または総務担当、5分):「偽警告・不審な画面を見たら、操作せずに〇〇へチャットで連絡」とだけ決めて全員に共有する
- 報告を受けたら最初にやることを決める(同、5分):電話や遠隔操作まで進んでいればネットワークから切断し、何時に何が起きたかをメモする。閉じただけなら報告のお礼だけで終了
- 報告した人を責めないと明言する(経営者、5分):叱られると次から報告が来なくなります。この考え方はフィッシング対策の報告ルールと共通です
もう1つ、ネットバンキングに使っているパソコンで遠隔操作を許してしまった場合は、優先順位が変わります。警察庁の解説にあるとおり不正送金につながるおそれがあるため、パソコンの対処と並行して、早めに銀行へ連絡して利用停止や不正な取引がないかの確認を進めてください。
情報漏えい全般が起きたときの初動対応(証拠の保全・影響範囲の洗い出し・報告の流れ)は、この連載で後日あらためて取り上げます。
続け方|閉じる練習を、社内の行事にする
サポート詐欺の対策は、機器の購入もソフトの導入も要りません。今日できることは次の3つです。
- 1. この記事の「閉じ方の手順」を社内チャットで共有する(総務担当、10分)
- 2. IPAの体験サイトで、各自が閉じる操作を一度やってみる(全員、1人2分)
- 3. 報告先の1行ルールを決めて周知する(経営者、5分)
一度でも自分の手で閉じた経験があると、本番の警告音の中でも手が動きます。朝礼や月次のミーティングで年に1〜2回、新しく入った人も含めて練習し直すと、効果が続きます。
サポート詐欺は「偽物に驚かされる」事故ですが、驚いたときの行動が決まっている会社は被害になりません。パスワードや更新といった基本の対策とあわせて、1つずつ整えていきましょう。何から手を付けるか迷う場合はセキュリティ対策の基本の6つから始めてください。
本記事の内容は、2026年10月時点で公表されている資料をもとに編集部が整理したものです。画面の操作手順や相談窓口は変わる可能性があるため、最新の情報は各出典でご確認ください。
偽警告の前に、本物の穴を塞いでおく
サポート詐欺は偽の警告ですが、自社のサイトやツールには本物の穴が残っていることがあります。セキュリティ診断は5,000円(税抜)の固定料金で、サイトのURLだけで始められます。点検後の更新・バックアップ・監視は、月額9,800円(税抜)からの保守で引き受けます。
セキュリティ診断の内容を見る →よくある質問
Q. 警告画面が出たら、ウイルスに感染しているのですか?
IPAの解説では、警告が表示されただけならウイルスに感染しているわけではなく、偽の警告画面を閉じれば問題ないとされています。画面の正体は全画面表示になったWebページです。ESCキーを2〜3秒長押しすると全画面表示が解除され、右上の閉じるボタンで閉じられます。表示された電話番号には電話をかけないでください。
Q. 表示された番号に電話してしまいました。どうすればよいですか?
途中でも電話を切り、以後の着信には出ないでください。金銭の支払いやソフトのインストールを求められても応じないことです。すでに遠隔操作ソフトを入れてしまった場合は、パソコンをネットワークから切断し、ウイルスチェックと該当ソフトのアンインストールを行い、可能であれば初期化とパスワード変更まで進めます(警察庁の案内による)。会社のパソコンであれば、あわせて社内の報告先へ連絡してください。
Q. 支払ってしまったお金は取り戻せますか?
取り戻せるかどうかは状況によるため断定できませんが、動くのは早いほどよいとされています。警察庁は、クレジットカードの場合はカード会社への支払い停止の依頼を、電子マネーの場合は管理会社への連絡と決済停止・救済措置の相談を案内しています。偽の警告画面やカードの現物、利用履歴などの証拠を保管し、最寄りの警察署に相談してください。
Q. 会社では何を決めておけばよいですか?
3つだけです。不審な画面を見たときの報告先を1行で決めること、報告を受けたら最初にやること(ネットワークからの切断と時系列のメモ)を決めること、報告した人を責めないと明言することです。あわせて、IPAの「偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト」で全員が一度閉じる操作を練習しておくと、実際に遭遇したときに慌てずに済みます。
